整形外科

2025.11.25首・肩・腕の痛みとしびれ

首・肩・腕の痛みとしびれ

変形性頸椎症

私の病気は何ですか?と先生に尋ねて、「変形性頸椎症です」という返事が返ってきたら、私の首も歳を取ってきたな。と思ってください。字の通り首の骨が変形するという意味です。レントゲンを撮ると椎間板が狭くなり、骨棘(こつきょく)という骨の飛び出しが出てきます。それが神経を圧迫したり、正常では横から見て前方が膨らんでいるのが(図1)、ストレートネックになったり、後側に膨らんで神経の通る管(脊柱管)が狭くなったりします。この名前は歳を重ねると起こってくる色々な首の病気の総称と思ってください。

(図1)

 

頸椎椎間板ヘルニア

首・肩・腕まわりの痛みは色々な原因によって起こりますが、中年以降で多いのは頸椎椎間板ヘルニアです。椎間板が飛び出て神経を圧迫する事で首や肩、手の痛みやしびれを起こします。寝違えや重い物を持ったことを契機に発症する事もありますが、原因がはっきりしない場合もあります。ヘルニアが左右どちらかに出た場合は、出た側の肩や手の痛みやしびれが出ます(図2)。反対に大きく真ん中に出て脊髄を圧迫した場合は、痛みやしびれに加えて、両手・足のまひが起こり、その為ふらついてうまく歩けない、排尿、排便障害などの症状が出ます。最初から強めの痛みやしびれが出ますので、早めの対応が必要と思います。

(図2)

 

頸椎症性脊髄症

脊髄症は背中の神経中枢である脊髄が圧迫されて症状が出ます。文字通り頸椎が悪い為(頸椎症性)に、脊髄の症状が出ている状態(脊髄症)です。70歳以上の高齢で悪化する代表的な病気です。左右どちら側の圧迫が強いかによって、ヘルニアと似たような症状が出ますが、圧迫が少なくても症状が強い人があります。これは5年10年と長期にわたって、脊髄神経が多くの部位(多椎間、図3)で圧迫を受けて相当傷んでいる状態に、頸椎のぐらぐら(図4)など、加齢による変化が加わって起こります。単なる静止画であるレントゲンやMRIでは分からない為、診察で神経の症状と、首の動きによる症状の変化を見る事が大事です。このような診察は専門医でないと出来ないので、症状のある方は受診される事をお勧めします。他に頸椎症性脊髄症を起こす病気としては、頸椎後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症(石灰化症)などの靱帯骨化症があります。

(図3)(図4)

厳しい首、肩の痛みの場合

激しい首と肩の痛みを起こす病気の代表例は、「がんなど悪性腫瘍」の背骨への転移です。乳がん、肺がん、甲状腺がん、腎がん、前立腺がんなどが代表的です。他には首の骨に細菌が感染する化膿性脊椎炎も難治性で治療に時間がかかります。またリウマチのところでも書きましたが、頸椎の偽痛風発作や、リウマチ性多発筋痛症なども痛みが強くつらい症状を起こします。

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