整形外科

2025.07.31ヘルニコアによる椎間板ヘルニア治療

椎間板は上から見ると、後ろがへっこんだ楕円形をしています。外側の1/3は線維輪という堅い膠原線維によって殻が作られ、その内側は柔らかい髄核というクッションでできています。いろいろな原因により線維輪にひびが入り、そこからゼリー状の髄核が飛び出てきて、神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです(下図)。ヘルニコアは日本で開発されたヘルニアの治療法で、コンドリアーゼという酵素を椎間板に注入して、髄核を分解して縮小させ、神経の圧迫を改善します。約7割の人に効果があり、症状の7割が取れると言われています。私の経験ではもっと高い効果があり、以前の病院の経験では85%以上でした。

実際の方法はヘルニコアという薬を、レントゲンテレビを見ながら目的の椎間板に1㏄注入します。効果がみられる時期は様々で、早い人は翌日から痛みが取れることもありますが、普通は約1~3か月かかります。椎間板を「溶かす」ので椎間板の不安定による腰痛が強くなることがあり、1か月間程度はコルセットの着用をお勧めしています。副作用にはアナフィラキシーショックがあります。そのため一生に1回しか使用できません。通院でもできる治療法ですが、アナフィラキシーショックのこともあるので、アレルギー体質の方は1泊入院での治療をお勧めしています。

ヘルニコア治療は侵襲が少ないので、薬や注射による保存的治療と手術的治療の中間治療として位置づけられています。ヘルニアがあって、なかなか痛みが取れない方は一度考えてみてください。

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